シェードガーデン戦記

小さな北向き粘土質の庭で、ガーデニング素人が悪戦苦闘するブログ

プロローグ3 土をつくる

とにかく土がひどかった。

バリバリにひび割れた地面にはなかなかシャベルが刺さらず、少し掘ったかと思うと拳くらいの石、錆びた釘、ガラス、麻縄、陶器の破片等々、ゴミでしょ……というものがゴロゴロ出てくる。灰色とレンガ色をした粘土の層が分厚く、靴底にみちみちに詰まる。

心を無にして修行僧のごとく、石とゴミを拾った。陶器片が出るたび「出土〜」などと呟きつつ、ひたすら掘ってた。

ゴミを取り除いたら、カチカチの粘土質をどうにかするべく土壌改良材を混ぜる。とりあえず培養土、ピートモス赤玉土、石灰を混ぜ込んで数週間寝かしてみたところ、中性にはなったが依然粘土のまま。踏むと一瞬で硬くなり、土壌改良材が粘土に取り込まれている……と戦慄する。

手に負えなさそうな粘土の塊は取り除き、繊維質を足すため完熟腐葉土ともみ殻くん炭を混ぜ込んでまた数週間寝かせてやっと、常識的な庭っぽい、シャベルからパラパラとこぼれる、靴底にくっつかない土を手に入れた。

文字にしてしまえばほんの数段落でも、ひ弱な文化系夫婦にとっては2人がかりで数ヶ月分の週末を犠牲にした大仕事だった。大体は土日のどちらかに作業し、翌日は全身筋肉痛で呻いていた。これを仕事にしてる農家の人はすごい。

同じように土質の悪い庭を改造したい人がいたとしたら、土作りマニア以外は、多少お金がかかっても業者に土の入れ替えを頼んだほうが良いと思う。

プロローグ2 シェードガーデンを知る

日陰でも育つ植物で検索をかけてみたが、キュレーションサイトの適当な記事ばかりでいまいち体系的な情報が得られない。分かったのは、陽当たりの悪い庭は「シェードガーデン」というジャンルを形成しているということ。

本屋に出かけてわかりやすそうなものを一冊買ってみた。

 

 

プロローグ1 日陰で土質が悪い庭

にわにはにこ問題がありまして。


一つ目

北向き。半分は午後のあいだ陽が当たるが、もう半分は一日中直射日光が当たらない。

特に冬の間は陽が差す時間が短い。これまで南向きの家にばかり住んでいたので、「日陰といってもビルの隙間ほど真っ暗でもないし、大体のものは育つでしょ」と根拠のない自信を持っていた。しかし前の家から連れてきたアボカドの鉢が、ものの数日で為すすべもなく枯れたのを見てヤバさを実感し、考えを改めた。

日陰に適した植物を調べなければならない。


二つ目

土が悪い。小石だらけで、水はけも悪く、雨が降るとぬかるむ。ぬかるみが乾くとヒビ割れる。

引き渡しの際に有料で土の入れ替えも出来ますと言われたが、春まで時間もあるので自分たちでやりますと答えてしまった。

土壌を改良して、植物を植えられる状態にしなくてはならない。


プロローグ0 庭を得る

引っ越し先の内見に行ったところ、駐車場スペースがまだ完成しておらず、剥き出しの土だった。

これからコンクリートを流し込むと聞いて、ほぼ反射的に「半分くらい土のままにしてください」と頼んでいた。


かくして十数年ぶりに自分の庭を手に入れた。そのときは何も考えずにガーデニングができるとわくわくしていたが、これがコンディション最悪の庭との、長い戦いの幕開けとなるのであった。